営業職の職務経歴書で新規開拓の実績を書くときは、「どの顧客に、どの方法でアプローチし、どのような成果につなげたか」を数字で示します。受注件数や売上だけでなく、アポイント数、商談化率、受注率、達成率なども、実績を伝える材料になります。
実績を大きく見せるために数字を推測したり、個人の成果とチームの成果を混同したりせず、自分が担当した範囲と事実を正確に書くことが重要です。
新規開拓の実績は「行動・工夫・成果」の順で書く
職務経歴書では、単に「新規顧客を開拓した」と書くよりも、開拓の進め方と成果まで示すと、営業力が伝わりやすくなります。次の順番で整理すると書きやすくなります。
- どのような顧客や地域を担当したか
- どの手段で新規開拓したか
- どのような工夫をしたか
- 何件の商談・受注・売上につながったか
- 目標に対してどの程度達成したか
たとえば、「法人向けにテレアポを実施した」だけでは、活動内容しか分かりません。「製造業の中小企業を対象に、業界別の課題を整理したトークスクリプトを作成し、新規契約15社を獲得した」と書けば、対象顧客、工夫、成果が具体的になります。
新規開拓の実績で書くべき数字
最も分かりやすいのは売上や受注件数ですが、それだけでなく、成果に至るまでのプロセスも書くと、営業活動の再現性を伝えられます。
| 項目 | 記載例 | 伝わる内容 |
|---|---|---|
| 新規受注件数 | 年間18社を新規受注 | 開拓の成果 |
| 売上 | 新規顧客から年間2,400万円を受注 | 事業への貢献度 |
| 目標達成率 | 新規売上目標の125%を達成 | 目標に対する成果 |
| 商談数 | 月平均30件の新規商談を創出 | 営業活動の量 |
| 受注率 | 新規商談からの受注率を15%から22%へ改善 | 営業の質や改善力 |
| アポイント数 | 月40件の新規アポイントを獲得 | 初回接点を作る力 |
売上金額を書く場合は、期間、対象、個人実績かチーム実績かを明確にします。たとえば「2024年度、個人で新規売上1,800万円を達成」のように書くと、数字の意味が分かりやすくなります。
新規開拓の職務経歴書に使える基本テンプレート
新規開拓の実績は、次の形にすると整理しやすくなります。
【基本形】
〇〇業界の法人顧客を対象に、電話・メール・紹介などによる新規開拓を担当。顧客の業種別に提案内容を整理し、商談化率の向上に取り組んだ。年間〇社の新規受注、売上〇万円を達成し、目標達成率〇%を記録。
実際に書くときは、〇〇の部分を自分の経験に置き換えます。事実として確認できる数字がない項目は、無理に補わず省略してください。
営業職の職務経歴書に書く新規開拓の例文
法人営業で新規顧客を開拓した場合
実績
- ITサービスの法人営業として、従業員50〜300名の企業を対象に新規開拓を担当
- 電話、問い合わせへのフォロー、紹介営業を組み合わせ、月平均25件の新規商談を創出
- 顧客の業務課題ごとに提案資料を作成し、年間12社の新規契約を獲得
- 新規売上1,500万円、目標達成率120%を達成
工夫した点
業種ごとに導入課題と提案内容を整理し、初回商談ではサービスの説明よりも現状の業務フローの確認を優先した。その結果、初回商談後の提案移行率を改善した。
テレアポ中心で新規開拓した場合
実績
- 中小企業を対象とした新規架電を担当
- 月平均800件の架電から、月40件のアポイントを獲得
- 業界別にトーク内容を見直し、アポイント獲得率を改善
- 年間10社の新規契約につなげた
テレアポの実績では、架電数だけでなく、アポイント数やアポイント獲得率まで書けると、活動量と成果の関係が伝わります。
訪問営業で新規顧客を開拓した場合
実績
- 担当エリアの未取引企業をリスト化し、新規訪問営業を実施
- 訪問前に企業の事業内容や課題を調査し、訪問先ごとに提案内容を変更
- 年間150社を訪問し、新規顧客8社を獲得
- 新規顧客から年間900万円の売上を創出
訪問件数だけを書くと、行動量しか伝わりません。訪問先の選び方や提案の工夫、受注までの成果もあわせて記載します。
個人向け営業で新規顧客を獲得した場合
実績
- 個人顧客向けに、店舗来店者への提案と既存顧客からの紹介営業を担当
- 顧客の利用目的を初回面談で確認し、複数プランを比較した提案を実施
- 新規契約を月平均15件獲得し、年間売上目標の115%を達成
個人営業では、来店、問い合わせ、紹介、イベントなど、どの接点から新規顧客を獲得したかを書くと、営業方法が明確になります。
数字で示せないときの新規開拓実績の書き方
正確な売上や受注率が分からない場合でも、実績をまったく書けないとは限りません。担当した顧客層、営業手段、担当範囲、改善した業務など、確認できる事実を具体化します。
たとえば、次のように書けます。
- 新規開拓専任として、担当エリアの法人顧客への電話・訪問営業を担当
- 顧客リストの作成から初回訪問、見積提出、契約手続きまで一貫して対応
- 営業先の優先順位を業種と規模で分類し、訪問計画を作成
- 新入社員向けに、初回訪問時のヒアリング項目をまとめた資料を作成
数字がない場合に、「多数」「大幅に」「高い成果」などのあいまいな表現を増やすより、担当した業務と工夫を具体的に書くほうが信頼性を保てます。
新規開拓の実績がない場合の書き方
新規顧客を受注した経験がない場合は、事実と異なる実績を書く必要はありません。新規開拓につながる活動や、既存顧客への提案で発揮した力を整理します。
たとえば、次のような経験があれば、新規開拓に活かせる要素として説明できます。
- 休眠顧客への再アプローチ
- 既存顧客からの紹介獲得
- 追加提案や契約更新の提案
- 問い合わせへの初回対応
- 展示会やセミナーでの名刺交換後のフォロー
- 見込み顧客のリスト作成や営業情報の管理
記載例は次のとおりです。
既存顧客への追加提案を担当し、利用状況の確認から課題の聞き取り、提案、契約手続きまで対応。顧客の課題を整理して提案内容を見直すことで、担当顧客の契約更新率向上に貢献した。今後は、これまでのヒアリング力と提案力を新規開拓にも活かしたい。
新規開拓の経験がないことを隠すのではなく、これまでの経験が新規営業のどの場面で活かせるかを示すことが大切です。
新規開拓の実績を書くときの注意点
個人の成果とチームの成果を分ける
チーム全体の売上を自分一人の実績として書くと、職務経歴書の内容と面接での説明が合わなくなるおそれがあります。「チーム10名で売上1億円」「そのうち自分は新規受注5社」のように、範囲を分けて書きます。
新規顧客と既存顧客を混同しない
既存顧客への追加契約や取引拡大は、重要な営業実績です。ただし、新規開拓の実績として書く場合は、未取引企業への営業、休眠顧客の再開拓、既存顧客からの紹介など、どの種類の開拓かを明示します。
守秘義務に注意する
顧客名、契約単価、取引条件などを外部に出せない場合は、業界名や顧客規模などに置き換えます。社内規定で開示できる範囲を確認し、具体性と守秘義務のバランスを取ってください。
成果だけでなく自分の役割を書く
「新規売上1,000万円」とだけ書くと、その成果にどのように関わったのかが分かりません。リスト作成、アポイント獲得、商談、提案、クロージングなど、自分が担当した範囲を添えます。
職務要約や自己PRにも新規開拓の強みを反映する
職務経歴書の実績欄だけでなく、冒頭の職務要約や自己PRでも新規開拓の強みを簡潔に示すと、全体の内容がつながります。
職務要約の例
法人向けITサービスの営業として5年間、新規開拓を中心に担当しました。電話・紹介・問い合わせ対応から商談を創出し、顧客課題を整理した提案によって年間12社の新規契約を獲得しています。
自己PRの例
私の強みは、見込み顧客の状況に合わせて営業方法を改善できる点です。前職では業種別に顧客課題を整理し、電話での初回接点から商談までの流れを見直しました。その結果、年間12社の新規契約を獲得し、新規売上目標の120%を達成しました。
職務要約では経験の全体像、実績欄では具体的な数字、自己PRでは成果につながった考え方や行動を書くと、同じ内容の繰り返しを避けられます。
提出前に確認したいチェック項目
- 新規顧客の対象が分かるか
- 電話、訪問、紹介、問い合わせなど開拓方法が分かるか
- 自分が担当した範囲が明確か
- 受注件数、売上、達成率などの数字に期間があるか
- 個人実績とチーム実績を区別しているか
- 数字や成果を推測で補っていないか
- 実績につながった工夫を一つ以上書いているか
- 応募先の営業職で活かせる強みが伝わるか
営業職の職務経歴書で新規開拓をアピールするには、「誰に、どう働きかけ、どんな工夫をして、何を達成したか」を具体的に書くことが基本です。数字がある場合は期間と担当範囲を添え、数字がない場合は営業手段や役割、改善行動を事実に沿って整理しましょう。







