営業職の職務経歴書に提案実績を書くときは、「誰に、どのような課題に対して、何を提案し、どんな成果につながったか」を具体的に示します。受注金額だけでなく、提案の工夫や自分の役割まで書くと、営業力が伝わりやすくなります。
営業職の職務経歴書で提案実績を書く基本の型
提案実績は、次の順番で整理すると読み手が内容を理解しやすくなります。
- 顧客の業界や規模、担当範囲
- 顧客が抱えていた課題
- 自分が行った提案内容
- 提案時に工夫したこと
- 受注や業務改善などの成果
単に「提案営業を行い、売上に貢献した」と書くよりも、課題と行動、成果をつなげて書くことが重要です。
提案実績の基本テンプレート
次の形に当てはめると、提案実績をまとめやすくなります。
【課題】顧客が抱えていた〇〇に対し、
【提案】△△を目的とした□□を提案。関係部署と連携して◇◇を実施した結果、
【成果】受注額〇〇万円、前年比〇%増、業務時間〇時間削減などにつなげた。
実績の数字が公開できない場合は、「大型案件」「既存顧客への追加受注」「部門横断の提案」など、守秘義務に配慮した表現に置き換えます。
提案実績に入れると伝わりやすい項目
すべての項目を無理に入れる必要はありません。応募先が知りたい内容に合わせ、提案力を判断できる情報を選びます。
| 項目 | 記載する内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| 顧客 | 業界、企業規模、担当社数など | 製造業を中心に法人約50社を担当 |
| 課題 | 顧客が困っていたこと | 営業担当者ごとに提案方法が異なり、商談の進捗管理が不十分だった |
| 提案内容 | 商品・サービスの組み合わせや導入方法 | 営業管理システムの導入と運用ルールの見直しを提案 |
| 工夫 | ヒアリング、資料作成、社内外の調整など | 現場担当者と管理職の双方から課題を聞き取り、導入後の運用まで含めて設計 |
| 成果 | 受注、売上、継続率、改善効果など | 初年度契約額800万円、関連サービスの追加受注につながった |
成果は数字と比較対象をセットで書く
提案実績の成果は、できるだけ数字・期間・比較対象を組み合わせます。「売上が増えた」だけでなく、いつと比べてどの程度増えたのかを書くと、実績の大きさが伝わります。
- 年間売上1,200万円を達成
- 前年同期比120%を達成
- 月間の新規受注件数を3件から8件に増加
- 既存顧客への追加提案により、年間契約額を300万円増加
- 提案から受注までの期間を平均2か月から1か月に短縮
「前年比120%」のような割合だけを書く場合は、可能であれば元の金額や件数も添えます。たとえば「年間売上1,000万円、前年比120%」と書くと、成果の規模を把握しやすくなります。
売上金額を公開できない場合は、「担当部署の目標を達成」「営業所内で上位の成績」「継続契約率を改善」など、開示可能な範囲で具体化します。根拠のない順位や割合は書かず、実際に確認できる数字だけを使います。
提案実績は「成果」だけでなく「提案の過程」も書く
営業職では、結果だけでなく、成果に至るまでの考え方や行動も評価されます。特に提案営業では、顧客の課題をどのように把握し、提案内容をどう組み立てたかが重要です。
たとえば、次のように書くと、単なる商品説明ではなく課題解決型の営業であることが分かります。
記載例:
物流会社の既存顧客に対し、配送コストの増加と人員不足についてヒアリングを実施。業務フローを確認したうえで、配送管理システムと導入後の研修を組み合わせた提案を行った。社内の技術担当者と連携して運用方法まで説明し、年間契約額600万円で受注した。
この例では、顧客の課題、ヒアリング、提案内容、社内連携、受注結果が一つの流れで示されています。
営業職の職務経歴書に使える提案実績の例文
新規顧客への提案実績
中小企業を対象に、業務効率化に関するITサービスの新規営業を担当。初回訪問ではサービス説明を先に行わず、現場担当者へのヒアリングを通じて業務上の課題を整理した。顧客ごとに導入範囲と運用方法を記載した提案書を作成し、年間契約額400万円の新規受注を獲得した。
既存顧客への追加提案
既存顧客約30社を担当し、利用状況と契約更新時の要望を確認。利用頻度の低い機能や新たな課題をもとに、上位プランと関連サービスを提案した。担当顧客への追加提案により、年間売上を前年度比115%に伸ばした。
無形商材の提案実績
法人顧客に対して、採用支援サービスの提案営業を担当。採用人数だけでなく、採用時期、必要な人材要件、入社後の定着課題まで確認し、複数の施策を組み合わせて提案した。顧客の社内稟議に必要な費用対効果の資料も作成し、複数年契約の受注につなげた。
大型案件・複数部署を巻き込んだ提案
大手企業の業務システム刷新案件で、顧客の情報システム部門と現場部門の要望を整理。社内の技術部門、カスタマーサポート部門と連携し、導入スケジュール、操作研修、導入後の支援体制を含む提案を実施した。約6か月の商談を経て、契約額2,000万円の受注に貢献した。
数字を書けない提案実績のまとめ方
取引先名や売上金額を公開できない場合でも、提案実績は記載できます。ただし、「大きな成果」「高い評価」などの抽象的な表現だけでは、内容が伝わりにくくなります。
次のように、公開できる情報を組み合わせます。
- 業界や顧客規模を匿名化して書く
- 受注金額を「高額案件」「複数年契約」などに置き換える
- 担当した役割や提案期間を書く
- 提案前後の件数、期間、工数など、開示可能な数値を使う
- 社内表彰や目標達成など、確認できる事実を書く
例:「大手小売企業の店舗運営部門に対し、複数拠点への業務改善サービスを提案。現場ヒアリングから提案書作成、導入後のフォローまで担当し、複数拠点への展開と継続契約につなげた。」
顧客名を伏せる場合も、業界、対象部署、拠点数、提案期間などを示すと、案件の規模や難しさを伝えられます。
提案実績を書くときの注意点
自分の貢献範囲を明確にする
チームで受注した案件では、個人の成果とチームの成果を区別します。「受注した」と断定するのではなく、「提案書作成を担当し、受注に貢献した」「商談の主担当として受注まで推進した」など、実際の役割に合わせて書きます。
提案しただけの案件と受注した案件を分ける
提案したものの受注に至らなかった場合は、受注実績のように見せないことが大切です。「提案を実施」「最終選考に進出」「顧客の検討対象となった」など、事実に合う表現を使います。
機密情報や誇張した数字を載せない
顧客名、契約金額、社内データを職務経歴書に書けるかは、勤務先の規定や守秘義務を確認してください。公開できない情報を無理に記載するよりも、匿名化して提案の内容と役割を具体的に示す方が安全です。
商品説明だけで終わらせない
「自社商品の説明を行った」「サービスを紹介した」だけでは、提案力を判断しにくくなります。顧客の課題を把握した方法や、顧客に合わせて変更した提案内容まで書きましょう。
職務経歴書に入れる提案実績の選び方
提案実績は、応募先で生かせる経験を優先して選びます。すべての案件を詳しく書く必要はなく、代表的な2〜3件に絞ると読みやすくなります。
- 応募先と同じ業界・顧客層への提案
- 応募先で扱う商材に近い提案
- 新規開拓、既存深耕、大型案件など自分の強みが表れる提案
- 社内外の調整や複数部署との連携が必要だった提案
- 成果を数字で説明できる提案
たとえば、新規開拓を重視する求人であれば新規顧客への提案実績を、既存顧客との関係構築を重視する求人であれば追加提案や継続契約の実績を中心に書きます。
提案実績を書く前に整理するチェック項目
職務経歴書に書き始める前に、次の項目を案件ごとに整理すると、内容が具体的になります。
- 誰に提案したか
- 顧客は何に困っていたか
- 課題をどのように把握したか
- 何を組み合わせて提案したか
- 自分はどの工程を担当したか
- 社内外の誰と連携したか
- 提案後にどのような結果になったか
- 成果を示す数字や比較対象があるか
最初に書くべきなのは、受注金額ではなく「顧客の課題」と「自分の提案行動」です。そのうえで、受注や売上、継続、業務改善などの成果を加えると、提案実績が具体的に伝わります。







