年度末に転職すると住民税の手続きはどうなる?

年度末に転職すると住民税の手続きはどうなる?

年度末(主に3月末)に転職しても、住民税がなくなったり、転職先で最初から計算し直されたりするわけではありません。前年の所得をもとに決まった住民税の残りを、退職時にまとめて支払うか、転職先の給与から引き続き天引きするか、納付書で自分で納めます。

どの方法になるかは、退職日、転職先への入社日、最後の給与から残額を引けるか、転職先で特別徴収を続ける手続きをするかによって変わります。

年度末の転職で住民税が変わる仕組み

住民税は、原則としてその年の1月1日に住んでいた市区町村が、前年の所得をもとに計算します。給与から天引きされる住民税は、通常、毎年6月から翌年5月までの12回に分けて納めます。

たとえば、3月31日に退職する場合、3月時点で天引きされている住民税は、前年6月から当年5月までの分です。まだ納めていない4月分と5月分が残っているため、退職時にその扱いを決める必要があります。

項目 基本的な考え方
税額の基準 前年の所得
納める市区町村 原則として、その年の1月1日に住んでいた市区町村
給与天引きの期間 毎年6月から翌年5月まで
年度末の転職で問題になる点 退職後に残る住民税を、どの方法で納めるか

3月末に退職すると、残りの住民税はどうなる?

3月31日付で退職する場合、一般的には次のいずれかになります。

  • 最後の給与や退職金から、残りの住民税をまとめて天引きする
  • 転職先の給与から引き続き天引きする
  • 市区町村から届く納付書で自分で納める

1月1日から4月30日までに退職する場合は、未納分を最後の給与などから一括して天引きする扱いが原則です。ただし、最後の給与や退職金が不足している場合や、転職先で特別徴収を継続する手続きを行う場合などは、扱いが異なることがあります。

3月末の退職であれば、通常は4月分と5月分が残っています。会社が最後の給与からいくら天引きするかは、給与の支給日や会社の処理方法によって異なるため、給与明細と退職時の案内を確認してください。

転職先で住民税の天引きを続ける場合

退職から転職先への入社まで期間が短く、転職先で手続きを行える場合は、住民税の給与天引き(特別徴収)を続けられることがあります。

この場合、前の勤務先が住民税の異動に関する書類を作成し、転職先が市区町村へ必要な届出を行います。本人が市区町村へ直接すべての手続きをするとは限りませんが、転職先に「住民税の特別徴収を継続したい」と伝えることが重要です。

転職先に伝える内容

  • 前の勤務先で住民税を給与天引きしていたこと
  • 退職日と転職先への入社日
  • 残りの住民税を転職先で天引きできるか確認したいこと
  • 前の勤務先から渡された住民税に関する書類があるか

転職先への入社が遅い場合や、転職先の給与計算に間に合わない場合は、いったん納付書で納めることがあります。手続きが間に合うかどうかは、前の勤務先、転職先、市区町村の処理状況によって変わります。

転職先で天引きできない場合は納付書で支払う

転職先で特別徴収を続けない場合や、退職後に空白期間がある場合は、住民税が普通徴収に切り替わり、市区町村から納付書が届くことがあります。

納付書が届いたら、記載された納期限までに金融機関、コンビニエンスストア、自治体が対応しているオンライン決済などで納めます。利用できる支払方法は自治体によって異なります。

普通徴収に切り替わったからといって、住民税が新たに発生したわけではありません。給与から天引きされていない残額を、自分で納める方法に変わっただけです。

4月に転職する場合の確認ポイント

4月に転職する場合は、3月末で前の勤務先を退職するのか、4月1日付で転職先に入社するのかを確認します。退職日と入社日の間に空白があるかどうかで、手続きや納付方法が変わることがあります。

状況 住民税の主な扱い
3月末退職、4月1日入社 残りの住民税を一括徴収するか、転職先で特別徴収を継続する
3月末退職、4月中に入社 転職先での継続手続きが間に合わなければ、納付書で納めることがある
退職後、しばらく無職 普通徴収となり、納付書で納めることが多い
同じ会社内の異動 退職を伴わなければ、通常は住民税の給与天引きは継続する

なお、4月以降に新年度分の住民税が決まるため、転職直後の給与からすぐに新年度分が天引きされるとは限りません。新年度分は通常、6月から翌年5月までの期間で納めます。

年度末の転職後、6月から住民税が増えることがある

年度末に転職した後、6月頃から給与天引きされる住民税の額が変わることがあります。これは、住民税が前年の所得をもとに計算され、毎年6月に新しい税額へ切り替わるためです。

たとえば、転職によって前年の給与収入が増えた場合は、翌年度の住民税が増える可能性があります。反対に、前年の所得が減っていれば、住民税が下がることもあります。転職した月の給与額だけで、その年の住民税が決まるわけではありません。

6月以降の給与明細に記載された住民税が想定より高い場合は、まず住民税決定通知書の「給与収入」「所得」「所得控除」「税額」を確認します。計算内容に疑問がある場合は、通知書を発行した市区町村に問い合わせてください。

住民税の手続きで自分が最初にすること

年度末に転職する人は、次の順番で確認すると、二重払いと納付漏れを防ぎやすくなります。

  1. 前の勤務先に、退職時に住民税の残額を一括徴収するか確認する。
  2. 最後の給与明細で、住民税が何か月分天引きされているか確認する。
  3. 転職先に、住民税の特別徴収を継続したいと伝える。
  4. 転職先での手続きが間に合わない場合は、市区町村から納付書が届くか確認する。
  5. 納付書が届いたら、すでに給与から天引きされた月分と重複していないか確認してから納める。

納付書が届かないことだけを理由に、住民税が免除されたとは判断しないでください。給与天引きから普通徴収への切り替え状況や、送付先の住所を市区町村に確認する必要があります。

引っ越しを伴う転職でも納付先がすぐ変わるとは限らない

転職と同時に引っ越す場合でも、その年の住民税の納付先がすぐに新住所の市区町村へ変わるとは限りません。住民税は原則として1月1日の住所地を基準に決まるためです。

たとえば、1月1日にA市に住んでいて、3月にB市へ引っ越した場合、その年度分の住民税は原則としてA市に納めます。翌年分からは、翌年1月1日時点の住所地などに基づいて扱われます。

まとめ

年度末に転職した場合、前年の所得をもとに決まった住民税の残りは、退職時に一括徴収、転職先での給与天引き、納付書による支払いのいずれかになります。

まずは前の勤務先に残額の扱いを確認し、転職先には特別徴収を続けたいことを伝えてください。納付書が届いた場合は、給与からすでに天引きされた分と重複しないことを確認して、納期限までに納めます。