営業職の職務経歴書で未達成の実績を書くときは、達成したように見せるのではなく、目標・実績・達成率・未達の要因・改善行動を事実に基づいて示します。売上目標を達成していなくても、新規顧客数、商談数、受注率、継続率、業務改善など、営業活動の中で成果として説明できる要素はあります。
未達成の営業実績は「隠す」のではなく事実として書く
職務経歴書では、売上目標を達成できなかったこと自体よりも、数字をあいまいにしたり、実績を誇張したりすることが問題になります。未達成の場合も、目標と実績を並べたうえで、そこから何を考え、どのように行動したかを説明しましょう。
たとえば、次のように書けます。
- 年間売上目標:3,000万円
- 年間売上実績:2,400万円
- 達成率:80%
- 担当顧客:既存顧客50社、新規開拓を含む法人営業
- 取り組み:休眠顧客への再提案、商談前の課題整理、提案資料の改善
- 結果:休眠顧客8社からの商談化、うち3社を受注
この書き方なら、売上目標は未達成でも、営業活動の内容や成果を採用担当者が確認できます。
営業職の未達成実績に入れる5つの項目
未達成の実績は、次の順番で整理すると、状況と貢献度が伝わりやすくなります。
1. 担当業務と営業条件
まず、何を販売し、誰に対して、どのような営業をしていたのかを書きます。営業実績は、商材の単価、営業エリア、担当顧客数、営業期間などによって意味が変わるためです。
- 商材・サービス
- 法人営業か個人営業か
- 新規開拓か既存顧客対応か
- 担当顧客数や営業エリア
- 営業期間
例として、「法人向け業務システムの新規開拓営業。従業員100~500名の企業を対象に、電話・メール・紹介によるアポイント獲得から商談、受注後の引き継ぎまで担当」のように記載します。
2. 会社や部署から設定された目標
目標は、売上金額だけでなく、受注件数、粗利、新規顧客数、商談数など、実際に設定されていた指標を書きます。
目標の指標が複数ある場合は、営業職として評価されていた項目を分けて示します。入社直後や担当変更直後など、目標の対象期間が短い場合は、その条件も添えましょう。
3. 実績と達成率
実績は、可能な範囲で具体的な数字にします。達成率は、次の計算式で求められます。
達成率=実績÷目標×100
たとえば、目標2,000万円に対して実績1,600万円であれば、達成率は80%です。計算結果は、会社で使われていた集計方法と異なる可能性もあるため、社内資料の表記がある場合はその数字を優先してください。
売上金額を開示できない場合は、「売上目標に対して約80%」「チーム内で新規商談数上位」「前年担当期間と比べて受注件数を増加」のように、開示可能な範囲で表現します。ただし、「上位」などの表現は、比較できる資料がある場合に限ります。
4. 未達成になった要因
未達成の理由は、言い訳ではなく、営業活動を分析した内容として簡潔に書きます。市場環境や商品価格など外部要因だけでなく、自分の課題も含めると、振り返りが伝わります。
- 新規商談の獲得数が目標に届かなかった
- 初回商談から提案への移行率が低かった
- 決裁者へのアプローチが遅れた
- 競合製品との差別化を十分に示せなかった
- 担当変更後の引き継ぎに時間がかかった
「市況が悪かったため未達成」とだけ書くと、本人の工夫が見えません。「新規商談数は確保したが、決裁者との接点づくりが遅れ、提案後の失注が増えた」のように、どの段階で課題があったのかを示しましょう。
5. 改善のために取った行動と結果
採用担当者が知りたいのは、未達成の事実だけではなく、課題に対してどのように行動したかです。行動の結果、売上目標を達成できていなくても、途中の指標が改善していれば実績として書けます。
- 顧客業界ごとに提案資料を作り分けた
- 商談前に決裁者と導入目的を確認した
- 失注案件を分析し、初回商談の質問項目を見直した
- 休眠顧客へ定期的に情報提供を行った
- 営業活動を管理表で可視化し、優先順位を変更した
例として、「受注率は目標に届かなかったものの、失注理由を分類して提案資料を改訂した結果、翌四半期の提案から受注率が15%から22%に上昇」と書けます。実際に確認できる数字がない場合は、改善したと断定せず、実施した行動までにとどめてください。
売上目標が未達成でも書ける営業実績
売上以外の指標に、営業としての貢献が表れることがあります。自分の担当業務と関係がある項目だけを選び、数字や具体的な成果を添えましょう。
| 実績の項目 | 書ける内容の例 |
|---|---|
| 新規開拓 | 新規アポイント数、商談化数、新規顧客の受注件数 |
| 既存顧客対応 | 担当社数、継続率、追加受注、休眠顧客の再取引 |
| 営業プロセス | 架電数、訪問数、商談数、提案数、受注率 |
| 顧客対応 | 問い合わせ対応、導入支援、クレーム削減、社内調整 |
| 業務改善 | 営業資料の改訂、管理表の整備、業務時間の短縮 |
| チームへの貢献 | 新人同行、成功事例の共有、営業手順の標準化 |
ただし、活動量だけを並べると「多く行動した」ことしか伝わりません。「月150件の架電を行い、平均15件の商談を獲得」のように、活動と結果をセットで示すと評価しやすくなります。
未達成の実績を書く職務経歴書の例文
以下は、売上目標を達成していない営業職の記載例です。数字や業務内容は、自分の事実に置き換えてください。
法人向けITサービスの新規開拓営業
- 担当業務:従業員100~500名の法人を対象とした新規開拓営業。アポイント獲得、初回商談、提案、見積作成、受注後の社内引き継ぎを担当
- 年間売上目標:3,000万円
- 年間売上実績:2,400万円(達成率80%)
- 実績:新規商談96件、受注12件、休眠顧客8社からの商談化
- 取り組み:失注案件を「価格」「機能」「導入時期」に分類し、顧客課題を先に確認する商談へ変更。業界別の提案資料を作成し、商談前に決裁者と導入目的を確認
- 成果:売上目標は未達成だったが、休眠顧客から3件を受注。翌四半期に向けた商談の再現性を高めるため、提案資料とヒアリング項目をチームへ共有
この例では、未達成を隠さずに記載しながら、売上以外の実績、課題分析、改善行動を示しています。採用担当者が見たい情報を一つの段落に詰め込みすぎず、箇条書きで整理するのがポイントです。
職務経歴書で避けたい未達成実績の書き方
次の書き方は、実績の信頼性を下げる可能性があります。
達成したように見せる
目標3,000万円、実績2,400万円の場合に、「年間3,000万円規模の営業を担当」とだけ書くと、売上を達成したように誤解されるおそれがあります。目標と実績は、区別して書きましょう。
達成率だけで終わらせる
「達成率80%」だけでは、どのような顧客に何を提案し、どのような工夫をしたのか分かりません。担当業務、営業活動、改善行動を補足します。
外部要因だけを理由にする
「景気が悪かった」「会社の知名度が低かった」など、外部要因だけを並べると、自分の行動が伝わりません。外部環境に触れる場合も、自分が取った対応とセットで書くことが大切です。
実績のない数字を作る
おおよその数字しか分からない場合に、正確な数字のように見せることは避けてください。「約」「平均」「確認できる範囲で」など、数字の性質を明らかにします。会社の機密情報にあたる場合は、応募先の指示や前職の規定に従い、開示可能な範囲で記載します。
未達成の理由を面接で聞かれたときの答え方
面接では、未達成の事実を短く認めたうえで、原因、改善行動、現在の考えの順に答えると説明しやすくなります。
- 目標と実績を事実として伝える
- どの営業プロセスに課題があったかを説明する
- 改善のために取った行動を話す
- 改善後に確認できた変化、または今後の課題を伝える
たとえば、「年間目標3,000万円に対して実績は2,400万円で、未達成でした。提案後の失注が多く、決裁者の課題を初回商談で十分に確認できていなかったことが原因です。その後は商談前の仮説整理と決裁者への確認を徹底し、受注につながった案件では同じ確認項目を使うようにしました」と答えられます。
改善後の成果がまだ出ていない場合も、無理に成功談へ変える必要はありません。「改善を始めた段階で、数値としての効果は確認中です」と、現在地を正確に伝えましょう。
未達成の営業実績を書くときの確認ポイント
- 目標、実績、達成率を区別しているか
- 数字の対象期間と単位が分かるか
- 営業の対象、商材、担当範囲を説明しているか
- 売上以外の実績を、事実に基づいて示しているか
- 未達成の原因を外部要因だけにしていないか
- 改善のための行動と、その結果を書いているか
- 会社の機密情報や、確認できない数字を記載していないか
- 達成したように誤解される表現になっていないか
営業職の職務経歴書で未達成の実績を書く場合は、達成率を無理に良く見せるのではなく、事実の数字と、課題に対して取った行動を具体的に示すことが重要です。最初に「目標・実績・達成率」を整理し、その後に営業プロセスの成果や改善行動を加えると、未達成でも自分の営業力を伝えやすくなります。







