営業職の職務経歴書で顧客規模を書くときは、顧客の従業員数・売上高・拠点数などの企業規模に加えて、担当社数や取引金額、取引先の業界も、分かる範囲で具体的に示します。顧客名を出せない場合は、「従業員数1,000人以上の上場企業」「年商100億円規模の製造業」のように匿名化して問題ありません。
大切なのは、勤務先の会社規模と顧客規模を混同せず、どのような顧客を何社担当し、どれほどの取引を扱っていたかが採用担当者に伝わるように書くことです。
顧客規模は「企業の大きさ」と「取引の大きさ」に分けて書く
顧客規模には、主に2つの意味があります。1つ目は顧客企業そのものの大きさ、2つ目は自分が担当した取引や営業活動の規模です。
| 区分 | 書く項目の例 | 伝わる内容 |
|---|---|---|
| 顧客企業の規模 | 従業員数、売上高、資本金、拠点数、上場・非上場 | どの規模の企業を相手にしていたか |
| 取引の規模 | 担当社数、年間売上、受注単価、取引額、契約期間 | どの程度の金額や件数を扱っていたか |
| 営業活動の範囲 | 担当エリア、決裁者、商談期間、営業メンバー数 | 営業の難しさや役割の広さ |
たとえば、「法人営業を担当」とだけ書くよりも、「従業員数300〜3,000人の法人を約40社担当し、年間取引額1億円規模を管理」と書いたほうが、担当していた顧客層と営業規模を具体的に伝えられます。
職務経歴書で顧客規模を書く場所
顧客規模は、職務要約、職務経歴の「顧客・営業対象」、担当業務、実績の欄に分けて書くと読みやすくなります。
職務要約で簡潔に示す
職務要約では、顧客規模と営業実績を1文から2文でまとめます。細かい顧客情報をすべて書くのではなく、経験の全体像が伝わる数字を選びます。
例:法人向けITサービスの新規・既存営業として、従業員数100〜1,000人規模の企業を中心に約30社を担当。年間売上5,000万円規模の既存顧客を管理し、新規開拓では年間15社の契約を獲得しました。
職務経歴で顧客と営業範囲を整理する
職務経歴では、次のように「顧客」「担当社数」「営業エリア」「取引規模」を項目化すると、採用担当者が確認しやすくなります。
- 顧客:従業員数50〜500人の中小企業および中堅企業
- 担当社数:既存顧客約40社、新規開拓を含め年間約20社
- 営業エリア:東京都、神奈川県
- 取引規模:受注単価50万〜300万円、年間売上約6,000万円
- 営業形態:新規開拓40%、既存顧客60%
すべての項目を埋める必要はありません。応募先が重視する経験に合わせて、分かる数字を優先して記載します。
顧客規模の具体的な書き方
顧客規模は、応募先の営業形態に合わせて表現を変えると、経験がより正確に伝わります。
法人営業の場合
法人営業では、従業員数、売上高、業界、上場区分、拠点数などを使って顧客企業の規模を示します。
例:従業員数100〜500人、年商30億〜200億円の製造業を中心に、既存顧客25社を担当。
例:大手企業から中小企業まで、業界を問わず約60社を担当。主な顧客は従業員数1,000人以上の上場企業で、部門責任者から役員層への提案を実施。
売上高や従業員数を正確に把握していない場合は、無理に推測せず、「大手企業」「中堅企業」「中小企業」といった区分を使います。ただし、「大手」の基準が自社独自の場合は、可能な範囲で従業員数や業界内での位置づけを補足すると分かりやすくなります。
新規開拓営業の場合
新規開拓では、顧客規模だけでなく、アプローチした件数、商談化数、受注数、受注単価などを組み合わせます。
例:従業員数50〜300人の法人を対象に、月100件程度の架電・メールによる新規開拓を実施。月平均10件の商談を創出し、年間12社と契約。
新規顧客の売上規模がまだ確定していない場合は、受注数や商談数を使います。まだ取引に至っていない見込み顧客について、実績のように「売上規模」を書かないことが重要です。
既存顧客営業の場合
既存顧客営業では、担当社数だけでなく、管理していた年間売上や契約更新数、取引継続年数などを示すと、顧客管理の規模が伝わります。
例:従業員数300〜2,000人の法人35社を担当し、年間売上約8,000万円の既存顧客を管理。契約更新、追加提案、利用状況の確認を通じて取引を継続。
顧客数が少なくても、1社あたりの取引額が大きい、複数部署や複数拠点を管理している、長期的な関係を維持しているといった点は、営業経験として評価材料になり得ます。
個人向け営業の場合
個人向け営業では、顧客の従業員数や売上高は使えません。その代わりに、来店者数、担当顧客数、世帯年収などの対象層、商談件数、契約単価、担当エリアなどを示します。
例:個人顧客を対象に、1日平均5〜8組の来店客へ提案。20〜60代の顧客を担当し、月平均10件、契約単価200万〜400万円の商品を販売。
住宅、自動車、保険など、顧客の属性が営業内容に関係する場合は、「世帯年収」や「法人経営者」などを、社内で定められた区分の範囲で記載します。顧客の個人情報や特定につながる情報は書かないでください。
顧客規模を書くときの記載例
職務経歴書では、次のように顧客規模、担当範囲、取引規模をまとめると自然です。
例1:ITサービスの法人営業
顧客:従業員数100〜1,000人の企業
担当社数:既存顧客約30社、新規開拓を含め年間約20社
営業内容:業務システムの導入提案、契約更新、追加提案
取引規模:受注単価100万〜500万円、年間売上約7,000万円
実績:既存顧客への追加提案により、年間売上を前年比115%に拡大
例2:商社のルート営業
顧客:従業員数50〜300人の製造業、約40社
担当エリア:大阪府、兵庫県
営業内容:定期訪問、見積作成、納期調整、仕入先との交渉
取引規模:月間取引額約1,500万円
実績:休眠顧客10社を再訪問し、うち4社との取引を再開
例3:個人向け住宅営業
顧客:住宅購入を検討する個人顧客、主に30〜50代の世帯
接客数:月平均35組
営業内容:モデルハウス案内、資金計画の提案、商談、契約手続き
取引規模:契約単価2,500万〜4,500万円
実績:年間契約12件、店舗内営業10名中2位
顧客名を出せない場合の書き方
守秘義務や社内規定によって顧客名を出せない場合は、業界、企業規模、地域、取引内容が分かる範囲で匿名化します。
- 「国内大手自動車メーカー」
- 「従業員数1,000人以上の上場企業」
- 「年商50億円規模の食品メーカー」
- 「首都圏の医療法人および介護事業者」
- 「全国に20拠点以上を持つ小売企業」
ただし、業界、地域、取引金額などを組み合わせることで顧客が特定される可能性がある場合は、さらに範囲を広げてください。社外秘の単価、契約条件、顧客名簿などは、職務経歴書に記載しないほうが安全です。
数字が分からないときは無理に推測しない
顧客の売上高や従業員数を把握していない場合、推定値を事実のように書く必要はありません。「中小企業を中心に約30社」「大手企業を含む法人顧客」など、確認できる範囲で表現します。
一方で、担当社数、訪問件数、受注件数、売上金額など、自分の営業活動に関する数字は、営業日報や評価資料を確認してできるだけ具体化します。数字を出せない場合は、「複数拠点を持つ顧客」「経営層への提案」「長期契約の顧客」など、営業の対象や難しさが分かる情報を補います。
「多数」「大規模」「高額」といった表現だけでは、採用担当者によって受け取り方が変わります。使う場合は、「約50社」「年間1億円規模」のように、確認できる数字や区分を添えると伝わりやすくなります。
顧客規模と実績を結び付けて書く
顧客規模だけでは、どのような成果を上げたのかまでは分かりません。顧客の規模、営業上の課題、自分の行動、結果を一続きで書くと、経験の再現性を伝えられます。
例:従業員数500〜2,000人の法人20社を担当。複数部署で利用する業務システムについて、利用部門ごとの課題を整理して追加提案を行い、年間売上を6,000万円から7,200万円へ拡大。
このように書くと、「どの顧客に対して」「何を提案し」「どの程度の成果を出したか」が分かります。応募先が大手企業向け営業を募集しているなら顧客企業の規模や決裁者への提案経験を、個人営業を募集しているなら接客数や契約単価を優先して記載します。
提出前に確認したいポイント
- 勤務先の会社規模と、顧客企業の規模を区別しているか
- 顧客の規模と担当社数、取引金額の単位が明確か
- 実績の期間が「月間」「年間」などで分かるか
- 推測した数字や、根拠のない「最大」「トップ」などの表現を使っていないか
- 守秘義務や社内規定に反する顧客名・契約情報を記載していないか
- 応募先の営業内容に関係する顧客規模を優先しているか
営業職の職務経歴書では、まず「どの規模の顧客を、何社、どの程度の取引規模で担当したか」を整理してください。正確な顧客名を出せない場合でも、従業員数や業界などの区分を使えば、営業経験の範囲と実績は十分に伝えられます。







