営業職の職務経歴書に実績を書けない場合でも、無理に売上や達成率を作る必要はありません。担当業務、営業の進め方、工夫したこと、周囲への貢献を具体的に書けば、実績として伝えられます。
数字を出せる場合は根拠のある数値を使い、分からない場合は「何を担当し、どのように行動し、どんな変化や反応があったか」を整理しましょう。
営業職の職務経歴書に実績を書けないときの考え方
実績は、売上金額や契約件数などの大きな成果だけではありません。営業活動の中で担当した範囲や、成果につなげるために取った行動も、職務経歴書で伝えられる実績です。
たとえば、次のような内容が挙げられます。
- 担当した顧客数、エリア、商材、営業手法
- 新規営業、既存顧客対応、ルート営業などの担当業務
- 訪問、電話、メール、商談、見積書作成、受注後のフォロー
- 顧客の課題を聞き出すために工夫したこと
- 営業資料や提案方法を改善したこと
- 社内の事務担当や技術担当と連携したこと
- 後輩への引き継ぎや営業同行を行ったこと
「契約を何件取ったか」だけでなく、営業職としてどのような仕事を任され、どう取り組んだかが分かる内容にすることが大切です。
数字の実績がなくても書ける4つの要素
1. 担当した仕事の範囲
まず、どのような営業を担当していたのかを具体的に書きます。営業職という職種名だけでは、採用担当者が経験内容を判断できない場合があるためです。
次の項目を整理すると、担当範囲を説明しやすくなります。
- 営業形態:新規営業、既存営業、ルート営業など
- 顧客:法人、個人、業界、企業規模など
- 商材:有形商材、無形サービス、単価や契約期間など
- 営業方法:訪問、電話、オンライン商談、紹介など
- 担当範囲:地域、顧客数、担当部署など
たとえば、「法人向け営業を担当」とだけ書くよりも、「中小企業を対象に、業務用機器の新規開拓と既存顧客のフォローを担当」と書くほうが、経験の内容が伝わります。
2. 成果につなげるための行動
実績が目立たない場合は、営業活動で意識していた行動を書きます。行動は、単なる精神論ではなく、具体的な方法に置き換えることが重要です。
- 商談前に顧客の業界や過去の利用状況を調べた
- 初回訪問では商品説明よりも課題の聞き取りを優先した
- 顧客の反応に応じて提案資料の順番を変えた
- 商談後の連絡内容と次回対応日を記録した
- 失注理由を整理し、次回提案に反映した
- 社内担当者と事前に納期や仕様を確認した
このように書くと、結果の大きさを断定しなくても、営業としてどのように考えて行動していたかを伝えられます。
3. 顧客や社内から受けた評価
売上の数値がなくても、顧客や上司、社内の関係部署から受けた具体的な評価があれば記載できます。
たとえば、「問い合わせへの対応が早いと言われた」「継続して担当を任された」「複数部署との調整役を担当した」などです。ただし、「高く評価された」とだけ書くのではなく、誰から、どのような点を評価されたのかを示しましょう。
社内表彰や正式な評価制度がない場合は、「社内で評価された」と断定せず、「顧客から相談を受ける機会が増えた」「上司から既存顧客の引き継ぎを任された」など、確認できる事実として書くと安全です。
4. 業務を通じて身につけた能力
営業経験から得た能力も、職務経歴書に記載できます。ただし、「コミュニケーション能力があります」のような抽象的な表現だけでは伝わりにくいため、業務内容と結び付けて説明します。
- 顧客の話を聞き、要望を整理するヒアリング力
- 複数の関係者と納期や条件を調整する力
- 顧客の課題に応じて提案内容を組み立てる力
- 商談や対応履歴を正確に管理する力
- 断られた理由を振り返り、次の提案を改善する力
営業職の職務経歴書に使える書き方の型
実績を書けないときは、次の順番で文章を作ると整理しやすくなります。
- 何を担当したかを書く
- どのような課題や状況があったかを書く
- 自分が取った行動を書く
- その結果として確認できる変化を書く
文章の型にすると、次のようになります。
「〇〇を担当。△△という状況に対し、□□を行った。その結果、××につながった」
結果を数字で示せない場合は、「問い合わせ内容を整理できるようになった」「提案準備の抜け漏れを減らした」「引き継ぎを円滑にした」など、確認できる変化を使います。
記載例1:売上や契約件数が分からない場合
記載例:
法人向けに業務用サービスの新規開拓営業と既存顧客のフォローを担当。訪問前に顧客の事業内容や過去の問い合わせ内容を確認し、課題に合わせて提案内容を整理した。商談後は対応履歴と次回確認事項を記録し、継続的なフォローにつなげた。
この例では、売上金額や契約件数を使わずに、営業の対象、担当業務、工夫した行動を示しています。
記載例2:目立った成果がない場合
記載例:
既存顧客への定期訪問、問い合わせ対応、見積書作成、納品後のフォローを担当。顧客からの要望を社内の製造担当へ正確に伝えるため、納期や仕様を確認してから依頼することを徹底した。営業と製造部門の間で情報を整理し、案件の進行管理を行った。
この書き方なら、売上実績が大きくなくても、顧客対応と社内調整の経験を伝えられます。
記載例3:営業経験が短い場合
記載例:
入社後、先輩社員への同行を通じて商品知識や商談の進め方を習得。その後、既存顧客への訪問、電話対応、見積書作成、商談後のフォローを担当した。顧客から聞いた内容を記録し、上司への報告と次回提案の準備に活用した。
経験が短い場合は、無理に大きな成果を作らず、任された業務をどこまで経験したかを正確に書きます。
実績の数字を後から確認できる場合の調べ方
「実績がない」と思っていても、社内資料や営業管理システムに記録が残っていることがあります。記憶だけで数字を書くのではなく、確認できる資料をもとに整理しましょう。
- 営業管理システムの担当案件や受注履歴
- 月次・四半期の営業報告書
- 目標管理シートや人事評価資料
- 見積書、受注書、請求に関する記録
- 担当顧客数や訪問件数が分かる業務記録
数値を使う場合は、対象期間と自分の担当範囲も確認します。たとえば、部署全体の売上を自分の実績として書いたり、チームの達成率を個人の達成率として書いたりしないように注意してください。
正確な数値が確認できない場合は、「約〇件」のように曖昧な数字を無理に使わず、数字を使わない表現に切り替えたほうが適切です。
書いてはいけない実績の表現
実績が書けないからといって、根拠のない数字や過度な表現を加えるのは避けてください。面接で詳しく聞かれたときに説明できないだけでなく、職務経歴書全体の信頼性にも関わります。
- 確認していない売上金額や契約件数を書く
- チーム全体の成果を自分一人の成果として書く
- 「必ず受注につなげた」など、例外のない表現を使う
- 実際には行っていない施策や改善を加える
- 「顧客満足度が向上した」と根拠なく断定する
成果を控えめに書くことよりも、事実と異なる内容を書くことのほうが問題です。数値がない場合は、担当業務と行動を具体化して補いましょう。
職務経歴書を提出する前の確認ポイント
完成したら、次の点を確認すると、実績が少なくても経験が伝わりやすくなります。
- どのような顧客に何を売っていたか分かるか
- 新規営業と既存営業のどちらか分かるか
- 自分が担当した業務とチームの業務を区別できているか
- 工夫した行動が具体的に書かれているか
- 数字や評価に根拠があるか
- 面接で質問されたときに説明できる内容か
営業職の職務経歴書に実績を書けないときは、売上の大きさだけに注目しないことがポイントです。担当範囲、具体的な行動、確認できる変化の順に整理し、事実として説明できる内容を記載しましょう。







